boogyman's memo

アニメーションと余日のメモ欄

演出メモ/『推しが武道館いってくれたら死ぬ』6話

『推し武道』は岡山アニメだ。桃太郎像や岡山城など、岡山の名所や観光スポットが度々出てくる。だから、同じ岡山を舞台にしたTVアニメ『バッテリー』('16)の望月智充監督が参加すると聞いて、不思議な縁があるなあと思った。 第6話「ぼくの全てが君だった」…

中野英明虎王伝説・総集編

2010年代中盤、格闘小説『餓狼伝』に登場する竹宮流の秘奥「虎王」が、何故だか(一部の)アニメを賑わせていた。仕掛け人は板垣恵介版・マンガ『餓狼伝』を愛読していたであろう演出家、中野英明。 以前、中野英明回で虎王が使用されるたびに記事を書いてい…

『放課後さいころ倶楽部』のピアスキャッチ描写

TVアニメ『放課後さいころ倶楽部』は実在する数多くのアナログゲームが登場する作品だ。各話で違うゲームが登場し、デフォルメキャラによってルール説明が行われること、主人公の武笠美姫が京都弁を喋ることなど、パッと目に留まる特徴がいくつも用意されて…

話数単位で選ぶ、2019年TVアニメ10選

年の瀬が近づくと始まる企画、今年放送されたTVアニメの中からエピソード単位で10本選ぶ、「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」。 以下、コメント付きでリストアップ。 ■『風が強く吹いている』 第23話「それは風の中に」 脚本/喜安浩平 絵コンテ・演出/野村…

演出メモ/『天華百剣 〜めいじ館へようこそ!〜』8話

『天華百剣 〜めいじ館へようこそ!〜』はショートアニメの特性を生かし、一風変わった趣向で攻めてくる作品だ。 演出的にメモしておきたいのは第8話(絵コンテ/藤田健太郎、演出/球野たかひろ)。この回は本編がほぼ4つのポジション(4アングル)だけで構…

『さすがの猿飛』28話の回し蹴りメモ

「NHK NEWS WEB 京アニ・つなぐ思い」のページに11月25日付けで「子どもに夢を ~“天才アニメーター” の素顔~」という記事が掲載された。これはアニメーター・木上益治の軌跡を辿る貴重な証言集。その中であにまる屋時代の同僚・奈須川充さんが『さすがの猿…

『ちはやふる3』の汗と浅香守生

6年ぶりのTVシリーズ第3期、『ちはやふる3』を観て思うことは、ひたすら純粋に「面白い」だ。競技かるたに懸ける情熱も、青春群像劇の中で絡み合う恋模様も、ずっと観ていたくなる。原作の勘所をつかまえる抜かりなさ、緊張感を孕みつつ、テンポ良く進める手…

『バビロン』2話の演出について

平衡感覚という言葉がある。比喩的にも使われるが、からだのバランスを敏感に察知し、それを保つ感覚のことだ。であるならば、野崎まどの同名小説をTVアニメ化した『バビロン』第2話に登場する平松絵見子こと「曲世愛」(まがせ あい)は、人の平衡感覚を失…

木上益治とプロレス

詳しい素性はわからない。けれど、非の打ち所がないその実力はファンならだれでも知っている――それが木上益治という人だった。 監督を務めた『MUNTO』シリーズのDVD特典でオーディオコメンタリーに出演したり、メイキング映像に顔出しをしている以外、ほとん…

演出メモ/『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』のフトモモ

『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-』放送終了後のあるツイートに関してのメモ。 私が担当した回の、えい君の絵コンテに、フトモモをエロく、、と2回も書いてあったのはナイショ、、1回目はライネス2回目は化野 — 合田浩章 (@warder…

『ソウナンですか?』エンディングと渋谷亮介

無人島に漂着した女子高生4人のサバイバル。TVアニメ『ソウナンですか?』は悲観的な状況に置かれていながら、父親仕込みのサバイバル術を持つ鬼島ほまれを中心に、マニアックな描写を挟みつつ、女子高生らしくお喋りの尽きない無人島生活を送る一風変わった…

感想/『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』

ヴァイオレット・エヴァーガーデン。考えてみると、これは潔いタイトルだ。名は体を表すという言葉があるが、本作に関して言えばTVシリーズの頃から、名前に物語が宿っている。名を呼ぶことが、ドラマなのだ。 イザベラ・ヨークことエイミー・バートレットと…

演出メモ/『ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-』6話

『ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-』第6話は恒例のあおきえい絵コンテ回。偶然なのか狙っているのか、TROYCAの加藤誠監督作品(『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』『やがて君になる』)にあおきえいがコンテ参加するときは…

東京、選択、反射――『天気の子』感想

新海誠最新作『天気の子』は身も蓋もなく言えば、「東京」の映画だ。「東京」と「新海誠」の関係は過去の作品群を振り返っても明らか。時に憧憬として、時に焦燥として、そして交差する場所として扱われている。もしかしたら、新海誠という人を映す鏡のよう…

『ミラクル☆ガールズ』再見 「曇りのちみかげ」

先週、出先でたまたま入ったハードオフに大量のアニメVHSが並んでいた。保存状態はまちまちだったが、'80年代OVAを中心にマニアックなタイトルがズラリ。その中に長年探していた*1『ミラクル☆ガールズ』があった。 1993年に放送された『ミラクル☆ガールズ』…

『どんぐりの家』と安濃高志

アニメーション映画『どんぐりの家』を久しぶりに観た。以前に観たのは何かの上映会だったはずで、もう20年近く鑑賞する機会がなかったのだけど、安濃高志監督の演出について確認したいことがあって視聴。細部まで観直すことができた。 『どんぐりの家』は山…

新海誠が描いてきた雨――『天気の子』公開に寄せて

新海誠監督の最新作『天気の子』の公開がいよいよ目前まで迫っている。 予告編を見ても明らかなように『天気の子』のテーマに「雨」が深く関係しているのは間違いない。連日降り続く雨と“100%の晴れ女”というキーワード、それが世界をどんな風に動かしていく…

『シティーハンター2』17話の2人原画と一肌

『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』が封切りされた頃に書こうと思っていた『シティーハンター2』17話についてのエントリ。 それは以前、西村誠芳さんがこんなツイートをしていたことが発端だ。 @mutaguti2 自分からバラすけど、シティ…

演出メモ/『アイカツフレンズ!』58話、『キラッとプリ☆チャン』60話

5/23放送『アイカツフレンズ!』58話、6/2放送『キラッとプリ☆チャン』60話と短いスパンで絵コンテ・演出/大島克也の回が目を引いたのでメモ。 アニメ@wikiで纏められたクレジットを読むかぎり、サンライズ制作出身の若手だろうか。演出家に転向してからま…

コンテ力

思い出したように読み返す記事がある。そのひとつが『かんなぎ』を特集したオトナアニメ Vol.10掲載の高橋渉監督による寄稿だ。 「コンテ力」というものがある。今勝手につけた。それは構図や呎。つなぎ。芝居のとりかた。絵の巧拙やらシリーズのトーンやら…

話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選

年末恒例の企画、今年放送されたTVアニメの中からエピソード単位で10本選ぶ、「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」。 以下、コメント付きでリストアップ。 ■ 『恋は雨上がりのように』 第12話「つゆのあとさき」 脚本/赤尾でこ 絵コンテ/渡辺歩 演出/益山亮…

青い鳥を待つ図書委員

『リズと青い鳥』の登場人物の中で、おそらく最も物怖じせず、鎧塚みぞれに正対するキャラクターは「図書委員」と名付けられた彼女だ。心が揺れる、感情が揺れる、ポニーテールが揺れる。様々なものが「揺れる」本作にあって、図書委員は下級生でありながら…

22/7「あの日の彼女たち」考 day04 佐藤麗華

22/7 「あの日の彼女たち」day04 佐藤麗華 映像におけるファーストシーン、ファーストカットは特別だ。そこで引き込まれるかどうか、視聴意欲をかき立てられるか否か。それがすべてではないにしろ、やはり主張のある切り出し方をするものにより惹かれるし、…

22/7「あの日の彼女たち」考 day03 立川絢香

22/7 「あの日の彼女たち」day03 立川絢香 立川絢香は真意を悟らせない。 「あの日の彼女たち」キャラクターPVの中で最も鮮烈なイメージを残す1本かもしれない。「day03」の舞台は帰宅途中だと思われる列車内。映像的には「開く」ところから始まり、「閉まっ…

22/7「あの日の彼女たち」考 day02 河野都

22/7 「あの日の彼女たち」day02 河野都 「day02 河野都」は要約すれば、「ファミレスのコールボタン*1をいつ押すか」という話。にぎやかな場所を舞台にしているためか、雰囲気は明るく、空気感や色合いもはっきりしていてどこかコメディタッチ。明朗快活、…

22/7「あの日の彼女たち」考 day01 滝川みう

以前まとめたエントリを書いたのだけど、22/7「あの日の彼女たち」キャラクターPVをリピート再生しているうちに、順を追ってもう一度書きたくなった。 今回は「day01 滝川みう」を取り上げてみたい。 22/7 「あの日の彼女たち」day01 滝川みう PVのスタート…

ビデオコンテの資料性――『さよならの朝に約束の花をかざろう』

「岡田麿里の描く絵コンテ」に興味があった。映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』は都合7人が絵コンテにクレジットされているが、個性派揃いの演出陣にあって目を引く絵コンテ/岡田麿里の存在感。いったいどんなコンテを、そもそもどんな絵を描いてい…

「復讐の赤い牙」のインパクト

木村圭市郎さんの逝去。仕方がないことだけれど、やはり寂しい。思えばインタビューやイベントで拝見するたび、気迫のこもった口調にたじろぎながらも、その豪快な人柄にどこか励まされていた。生涯現役を標榜し、やり遂げようとする生き様に憧れていたのか…

『SSSS.GRIDMAN』導入部の演出/情報量

謎に満ちていて、否応なしに引き込まれてしまう。目と耳を凝らして何かないかと探ってしまう。雨宮哲監督の『SSSS.GRIDMAN』は用心深く、視聴者を刺激する。 中でも、物語の導入部にあたる第1話「覚・醒」の演出はじつにミステリアスだった。記憶喪失の主人…

TROYKAの遮断機/七海燈子の踏切

『やがて君になる』は演出に凝ったアニメだ。小糸侑と七海燈子、ふたりの心情を様々なフレーム、境界線によって描き出そうとしている。そのひとつ、「踏切」についての小話。 踏切は電車や人々が行き交う日常的な場所でありながら、「線」が多く、心理的距離…