boogyman's memo

アニメーションと余日のメモ欄

『SSSS.GRIDMAN』導入部の演出/情報量

謎に満ちていて、否応なしに引き込まれてしまう。目と耳を凝らして何かないかと探ってしまう。雨宮哲監督の『SSSS.GRIDMAN』は用心深く、視聴者を刺激する。 中でも、物語の導入部にあたる第1話「覚・醒」の演出はじつにミステリアスだった。記憶喪失の主人…

TROYKAの遮断機/七海燈子の踏切

『やがて君になる』は演出に凝ったアニメだ。小糸侑と七海燈子、ふたりの心情を様々なフレーム、境界線によって描き出そうとしている。そのひとつ、「踏切」についての小話。 踏切は電車や人々が行き交う日常的な場所でありながら、「線」が多く、心理的距離…

『色づく世界の明日から』#2 逆光カット集

『色づく世界の明日から』第2話は逆光カットで構成されていた、と言っていいくらい「光に背を向ける」月白瞳美を追ったエピソードだった。それは物語であり、貫かれた様式であり、その中で変化する瞳美の心境であり。そして逆光の印象が光に向かって色づく瞬…

アニエスの帽子に溜まった雨

『ゲゲゲの鬼太郎』27話「襲来!バックベアード軍団」に覚えておきたい描写があった。それは母国を追われ、日本に漂着した妖怪たちが次々に西洋妖怪・ヴォルフガングに殺されてしまい、文化の違いが衝突していたこともあって、鬼太郎が「もう一度話し合いを…

『妖獣都市』Scene2 滑走路 Cut63

川尻善昭監督作品『妖獣都市』のBlu-ray BOX発売決定のニュースに合わせて、思い出語り。 『妖獣都市』を初めて劇場で観たのは、池袋の新文芸坐で定期的に行われているアニメスタイルのオールナイトだった。『妖獣都市』はビデオプロジェクタによる上映だっ…

『色づく世界の明日から』と篠原俊哉のポッキー

P.A.WORKS×篠原俊哉の新作『色づく世界の明日から』が始まった。魔法の使える社会で魔法が使えず、幼い頃に色覚を失ってしまい、灰色の世界を見つめてきた少女・月白瞳美が祖母の時間魔法によって突然60年前へと渡るファンタジックな作品だ。 第1話Aパートで…

22/7「あの日の彼女たち」の演出、魅力

22/7「あの日の彼女たち」キャラクターPV day06 丸山あかね、day07 戸田ジュンが公開されていた。今回は詳細なスタッフ情報が掲載されており、一部で噂されていた通り、アニメーション制作はCloverWorks、監督に若林信、キャラクターデザイン・作画監督には…

『若おかみは小学生!』と『MASTERキートン』の高坂希太郎

先週末、映画『若おかみは小学生!』を観に行ってきた。手際良くまとめられたストーリー、生命力を感じさせる人物作画、主人公・おっこ(関織子)の心の傷や不安定さに触れながらも、決して押し付けることなく、自然な感動へと誘う演出。これは少女の成長と…

『恋は雨上がりのように』12話の詩情

格別な詩情が溢れ出したアニメ、そう呼びたくなる。先日、完結を迎えた原作の最終回も読んでいたが、TVアニメ『恋は雨上がりのように』の締め括り方はテーマの抽出に優れた、澄明な感慨を抱かせるものだった。 徹夜で執筆活動を行う近藤と起き抜けにストップ…

『恋は雨上がりのように』 #8

「続きが読みたいとも思いました。」 これは補習を受けていたあきらが、【あなたは下人のとった行動をどう思いますか? 自由に書きなさい。】という『羅生門』の問題に対して、「下人の勇気が、今後の彼の人生にプラスに働けばいいなぁと思います。」と書い…

『恋は雨上がりのように』 #7

夜の青い光の中、カーテンに伝う雨雫の影。 『恋は雨上がりのように』7話Bパート、雷が落ちて停電した後、ずっとテーブルに伏せっていたあきらが身を起こすシーンの美しさ、緊張感はただごとではなかった。 青白く照らしていた外の光がカット内で変化し、画…

『恋は雨上がりのように』6話の構成力、演出

『恋は雨上がりのように』は構成力に唸らされるアニメだ。 原作付きのアニメを観るとき、原作既読の状態が必ずしも好ましいとはかぎらないが、本作はシリーズ構成、各話の構成、ともに原作ファンの目で観ても「こう来たか」と思わせる仕掛けがある。アニメ第…

『恋は雨上がりのように』のスペシャルファンデについて

TVアニメ『恋は雨上がりのように』には「スペシャルファンデ」という固有の役職が設けられている。具体的に何をする役職なのか、わからないでいたのだけど、岡田麻衣子プロデューサーのインタビューで触れられ、少しだけ内容が明らかになった。 瞳アップの時…

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』5話の視線誘導・ピン送りメモ

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』第5話の視線誘導・フォーカスについてメモしておきたい。 京都アニメーションのお家芸とも言える被写界深度のコントロール。第5話のそれは今まで以上に精緻で見慣れないものがあった。 シャルロッテ王女と向かい合うヴ…

高木弘樹さんのエミ

アニメーターの高木弘樹さんが亡くなられたという話を聞いた。正直、信じられない思いで一杯だ。あまりにも突然で心がざわめき立っている。 高木さんの膨大な仕事の中で一番心に残っているのは、ぴえろ魔法少女シリーズ、とくに『魔法のスター マジカルエミ…

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の色使いと設計

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の画作りには圧倒される。風になびく髪の柔らかさ、皺の描き込み、繊細な表情芝居……TVアニメの水準はどこまで引き上げられるのか。見ているこちらが心配になってしまうほどだ。そんな高密度の画作りを支える重要な要素…

『恋は雨上がりのように』 #3 雨雫の表現

勢いで告白してしまった夢から醒めたあきら。勘違いされたという失敗の念が強いのだろう、髪は千々に乱れ、苦い表情。起き上がり、ベッドから出ようとしたとき、右足の剥がれかけたペディキュアが目に止まる。あきらは除光液とハートの形をしたネイルのボト…

『恋は雨上がりのように』 #1 

渡辺歩監督の新作『恋は雨上がりのように』。 初回放映の後、すかさず原作を読み直してしまった。原作を大胆に再構成しているのに、違和感がない。17歳の女子高生・橘あきらは45歳のファミレス店長である近藤正己の何に惹かれたのか。原作以上にスムーズな導…

『美味しんぼ』寺東克己回メモ①

TVアニメ『美味しんぼ』寺東克己回についてのメモ。 バラエティに富んだ本作の演出陣にあって、シリーズ後半からローテーションに加わる寺東克己は異彩を放っていた。ビーボォー出身のアニメーターであり、『美味しんぼ』は演出に軸足を置き始めた初期の仕事…

『映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-』感想

先週の土曜日、公開初日に『映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-』を鑑賞。何も調べず劇場に足を運んで正解だった。これは未成熟な面映いラブストーリーであり、サービス精神に溢れた舞台探訪型ロードムービーだ。 近年、京都アニメーションは「コミュ…

「若林信仕事集2」を読む

コミックマーケット93頒布、サークル・アニメ風来坊より発行された『若林信仕事集2』。発行責任者及び編集は若林信。TVアニメ『エロマンガ先生』第8話絵コンテ集だ。独特なスタイルであるのは、コンテの上に直接フキダシを重ねて解説文を書いていることだろ…

話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選

年末の風物詩(?)、今年放送されたTVアニメの中からエピソード単位で10本選ぶ、「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」。 以下、コメント付きでリストアップ。 ■ 『魔法つかいプリキュア!』第49話「さよなら…魔法つかい!奇跡の魔法よ、もう一度!」 脚本/村…

ぼのぼの #88 西村純二とショーねえちゃん

ついにやってきた『ぼのぼの』の西村純二×ねえちゃん回! 第88話「おねえさんが帰らない」はシマリスの姉であるショーねえちゃんの魅力が十全に発揮された回だった。ショーねえちゃんの傍若無人っぷりに我慢ならないシマリスは決闘を申し込む。決闘は3日後な…

アニメの門場外乱闘編 総括2017

年末の風物詩(?)になりつつある「アニメの門場外乱闘編」。アニメ評論家の藤津亮太氏とライターの小川びい氏による、それぞれが選定したニュースを発表する形式のトークイベントだ。 今年も例年通り、軽快かつ見識の高い放談で終始笑いの絶えない進行。だ…

愛物語 スタッフデータ

『愛物語』 企画/藤原正道 原作/かわぐちかいじ プロデューサー/芝原靖史、沢登昌樹 【抱きしめたい】 作詞/ジョン レノン 作曲/ポール マッカートニー 演奏/ザ・ビートルズ Courtesy of Emi Records Limited 監督/望月智充 キャラクターデザイン、作…

「あの日にかえりたい」と「あの日に帰りたい」

タイトル表記にまつわる小話。 『きまぐれオレンジ☆ロード あの日にかえりたい』は1988年に劇場公開された望月智充監督作品。「かえりたい」はひらがなだ。 さて、漢字表記の「あの日に帰りたい」。これはかわぐちかいじ原作のOVA『愛物語』(1993)に収録され…

魔弾の本と西澤コンテ

『魔弾の王と戦姫』のことを書く。 アニメ放送終了後に作られた、今や恒例(じつはかなり昔からある)のスタッフ本には声優やアニメーターのイラストなどが掲載されている。アニメーター個人の絵柄を確認したり、人柄の滲むコメントに目を光らせる場だ。この…

干物妹!うまるちゃんR #7

『干物妹!うまるちゃんR』第7話は上坪亮樹の絵コンテ・演出回。目を引いたのはサブタイトルにもなっている前半の遊園地だ。うまると親密になってコーヒーカップに乗りたい切絵。しかし靴紐を踏んづけて転んでしまったり、髪がほどけて取り乱してしまったり…

お酒は夫婦になってからのエンディング

Creators in Packのショートアニメは程好く力が抜けている。『バーナード嬢曰く。』もそこが好きだった。現在放送中の『お酒は夫婦になってから』もいい具合に脱力したアニメだ。昼間からお酒を飲んでしまってダメになる主人公の水沢千里に妙な親近感を持っ…

庵野秀明のコントロール

神山健治「映画は撮ったことがない ディレクターズ・カット版」には庵野秀明との特別対談が収録されている。「組織と現実論」を書ける人だということで神山さんに声を掛けたこと、プロットの第8稿まで付き合ってもらったことなど、『シン・ゴジラ』とのかか…