boogyman's memo

アニメーションと余日のメモ欄

アニエスの帽子に溜まった雨

ゲゲゲの鬼太郎』27話「襲来!バックベアード軍団」に覚えておきたい描写があった。それは母国を追われ、日本に漂着した妖怪たちが次々に西洋妖怪・ヴォルフガングに殺されてしまい、文化の違いが衝突していたこともあって、鬼太郎が「もう一度話し合いをしていれば……」と自責の念に駆られる終盤のシーン。

皆の悲痛な思いを代弁する雨、これは定番の心境を分かりやすく伝える天候設定。出色だ、と思ったのは西洋妖怪編の新キャラクター・アニエスの帽子に溜まった雨。

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アニエスは典型的な魔女の装いで、「とんがり帽子」「魔女帽子」と呼ばれる形の物をかぶっている。その広いつばの部分に雨を溜めるという発想に驚いた。帽子の材質、形状を考慮し、結果的に自分が原因のひとつになってしまったアニエスの複雑な胸の内を左右から伝って滴る雨粒と共に演出する。何か流れ落ちないものが、心に重く溜まっているということなのだろう。瞳のハイライト揺れ(ホルス以来伝統の潤み表現)に合わせて広がった水溜りが情動的に震えているのも細かい。

魔女っ子シリーズを生んだ東映アニメーション(当時は東映動画)だけあって、さすが魔女の扱いは一味違うと思わせられた。挑戦的な第6期のことだから、また新たな「魔女演出」が登場する可能性大だ。見逃せない。

絵コンテ/なかの☆陽、演出/岩井隆央。