boogyman's memo

アニメーションと余日のメモ欄

「この人に話を聞きたい」 藤原佳幸

アニメージュ2017年12月号掲載の「この人に話を聞きたい」は藤原佳幸監督。以前から注目している作り手の一人で、資料性博覧会09のパンフレット企画で藤原監督についてのコラムを寄稿したこともあり、今回の「この人」は妙に緊張しながら読んだ。寄稿にあたってはアニメーター時代から現在まで追えるかぎりの仕事とインタビューをチェックしたつもりだけれど、見当違いのことを書いてしまった可能性もある。

ホッとしたのはOVA『エルハザード』のタイトルが紙面の一段目から飛び出したことだ。個人的に藤原佳幸という人は『エルハザード』の構成的なセンチメンタル(一万年誠を待ち続けたイフリータ)が好きなんじゃないかと思っていた。『GJ部』の各話Cパート&最終回のギミック、そして『未確認で進行形』『プラスティック・メモリーズ』。いずれも「気付いたら何かが始まっている」物語であり、同時に序章から終わりを予感させる構成だ。だから藤原監督の口から『エルハザード』への想いが語られたときには一息、胸を撫で下ろした(予想より赤裸々な告白だったけれど)。

タイミング的に『NEW GAME!』の分量多めでとくに良かったのは山崎みつえさんが担当した6話のディレクション部分。青葉が泣きじゃくって八神に頭を預けるシーンの「これどっちから行くの?」はたしかにクリティカルなところだ。山崎みつえさんと藤原監督の演出的な話し合いの具体的な内容を知れたのは嬉しい。何処が誰の差配によるものか、そればかりは聞いてみないと想像の域を出ない。

それにしても『ヨコハマ買い出し紀行』や『ARIA』の影響が語られるとは思わなかった。好みの作品を作ってくれるわけだ。