boogyman's memo

アニメーションと余日のメモ欄

演出メモ/『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』12話

畠山守作品お馴染みの影中処理は『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』でも頻出する演出だ。とくに第12話Aパート「花火の音は聞こえない 後編」の階段下で人知れず泣くかぐやのカットは凄まじい。

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表情の変化過程や腕を顔にこすりつけるニュアンス、嗚咽に合わせた修正PANなど、細かく手の入っていることが伺える演出と芝居作画。原作の名場面をアニメの武器である動きと音を加え、さらなる名場面へと押し上げたカットなのだけど、感じ入ってしまったのはその後だ。

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T.Bする画面に合わせて登場する白銀はかぐやにより濃い影を落とす。影の中にいる人物に光が射すという描写ではなく、敢えて影を重ねる演出が採用されており、これが畠山流の解釈かと唸らされた。ストーリーの流れを完璧に汲んでいる演出だからだ。

白銀の行動過程、ポジションを考えれば分かりやすいが、かぐやのつぶやきを読んだ白銀はかぐやのあずかり知らぬところで影ながら奮闘していた。皆と花火が見れず、影の中に籠ってしまったのがかぐやなら、影で光を見せようと動いていたのが白銀なのだ。だからこそ、ふたつの影を重ねることに意味があり、二人でなら影の中から走って出られる。

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とはいえ、本作らしいのは白銀の「だったら俺が見せてやる」というセリフに合わせて例の劇伴*1で、トレンディとコメディの真ん中を突っ切るところだ。ベタベタな音響演出だが、それが似合う。

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タクシーの前で待ち構える藤原書記が、かぐやを抱きかかえてから投げ込む繋ぎも人物描写のアイディアとリズミカルなカットチェンジが小気味良く、見た目に楽しい。原作から膨らませたワンシーンだが、畠山演出の勘所は案外こういう場面にあるのかもしれない。

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