boogyman's memo

アニメーションと余日のメモ欄

干物妹!うまるちゃんR #7

干物妹!うまるちゃんR』第7話は上坪亮樹の絵コンテ・演出回。目を引いたのはサブタイトルにもなっている前半の遊園地だ。うまると親密になってコーヒーカップに乗りたい切絵。しかし靴紐を踏んづけて転んでしまったり、髪がほどけて取り乱してしまったりと空回りが続く。そこでうまるは観覧車に切絵を誘って髪留めを付けてあげる。このシーンの演出にはグッと引き込まれるものがあった。

f:id:tatsu2:20171120194345p:plain

沈んだ切絵の心情に合わせた影付けが巧みだ。最初は上半身にだけ影を落としていたのに、感情の昂ぶりに応じて影が画面を覆うように濃くなり、泣き出す直前には逆光で何も見えなくなる。切絵から見たうまるはそのくらい眩しく、自分は暗いと思っているのだろう。ここからの泣きは力の入った芝居で見応えがあった(原作から相当膨らませている)が、一瞬「干物妹」のデフォルメに戻ったうまるを切絵が見ていないところも心憎い。うまるは切絵の視界から消えて横に座り、いつも隣にいるんだよという「師匠」の顔ものぞかせる。友人と師弟、二つの関係が交錯しているわけだ。

上手・下手の関係が整理してあるのもいい。上手側に配置されたうまる、下手の切絵。うまるが切絵に寄り添い、そこからカメラを切り返して最後は二人とも上手側で明るい気分を取り戻す。影付けと構図で見せる鮮やかな手並みで、上坪流の情感をたっぷりと味わわせてもらった。

これは余談。日曜深夜のBS11は『うまるちゃんR』の次に『血界戦線 & BEYOND』『ボールルームへようこそ』と連続して放送されている。昨日の放送はそれぞれ上坪亮樹松尾衡満仲勧という実力派の演出家が登板し、盛り上がりのある放送になった。だから何だということでもないけれど、メモしておきたい並びだった。