boogyman's memo

アニメーションと余日のメモ欄

2020-01-01から1年間の記事一覧

話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選

年の瀬の恒例企画、今年放送されたTVアニメの中からエピソード単位で10本選ぶ、「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」。参加サイトは新米小僧さんからバトンを受け継いだ「aninado」をチェック! 以下、コメント付きでリストアップ。 ■『ねこねこ日本史』 第123…

アムロとブラと今 敏

『機動戦士ガンダム』17話「アムロ脱走」には有名な「ミライの干してあるブラジャーに赤面するアムロ」というシーンがある。先日、久しぶりにその初心なアムロの一面を見て、頭の片隅にふと「吊ったブラ」が印象的なアニメは他にもあったはずだ、なんだった…

とある吉田玲子のダイアローグ 週雑006

前記事の補足も兼ねて。 『水色時代』第43「思い出アルバム4 はじめての友達」の終盤、優子のお隣さんで幼馴染・博士が落ちたブレーカーを上げて、帰った後のダイアローグ。 北野「あたし帰る!」優子「え?」北野「帰る!」優子「北野さん! 北野さん帰らな…

吉田玲子の「水色時代」

本打ちは乙女の赤い血問題で揺れていた。 こんな書き出しで始まる文章がある。2000年に刊行された「アニメスタイル」第2号に寄せられた若き日(といってもデビューからそれなりに年数は経っている)のシナリオライター・吉田玲子によるコラム。「自作を語る…

「鬼滅の刃」と「未来福音」 

まさに待望の一冊。話題の『鬼滅の刃』最終巻を先週、発売日に買って読んだ。 単行本の加筆・修正で印象の変わるマンガは少なくないが、『鬼滅の刃』の場合、元々帯びていたメッセージ性が加筆によってより深く読者の胸に届くように描かれており、読後の余韻…

「ハーケン」の意味 

まさか、は突然やってくる。『ハイキュー!! TO THE TOP』15話の本放送を観ていて、『ハイキュー!!』で、いや松下慶子班のアニメでこんな乱れ方をすることがあるのかと思った。 松下慶子プロデューサーは『ももへの手紙』をはじめ、『うさぎドロップ』『げん…

虎杖将監論 

虎杖将監(いたどり しょうげん)は『ストレンヂア 無皇刃譚』(安藤真裕監督/2007)の登場人物のひとりで、国盗りの野心を持つ男だ。大塚明夫の好演もあり、歴戦の将たる貫録を漂わせているのだが、金髪碧眼の剣士・羅狼との一騎打ちの最中、不意の凶弾に斃…

黒澤明の演出方針

11月8日に放送された「黒澤明の映画はこう作られた〜証言・秘蔵資料からよみがえる巨匠の制作現場〜」で興味深い資料が紹介されていた。スタッフにだけ配布したという自身の演出プランを語った文章だ。 「私の演出方針大要」 俳優の演技は演技を感じさせては…

土曜日の新人たち

筆不精が続き、無理矢理にでも何か書く機会を設けねば! と奮い立つも、日々の更新は難しい……ということで、「呑み」同人サークル・かるこーるぞくやアニメ関連の同人誌作りなど、マルチな活躍をしている機長さんに倣い、週間単位の雑記を残していきたいと思…

『波よ聞いてくれ』12話の信頼とアドリブ

俺、映画でもアニメでも、原作に忠実であるべきだとは決して思わないんですよ。その道のプロが最善と考える見せ方をしていただければOKで。 これは「アフタヌーン」2020年2月号の誌面対談で南川達馬監督に原作の沙村広明が語っていた言葉だ。形式上、多少の…

演出メモ/『空の青さを知る人よ』

『空の青さを知る人よ』は秩父三部作の集大成と謳われているが、「超平和バスターズ」作品としても、完結編的な映画だと思う。演出にしろ作劇にしろ、語り口に迷ってしまうほど密度があり、一つ一つに込められた意味が重い。言ってしまえば、「だれから/ど…

アクアの輪っかと金崎演出

『この素晴らしい世界に祝福を!』は何度観ても笑って騒いでたまにしんみりして、心の底からスカッとした気持ちにさせてくれるアニメだ。今回はそんな『このすば』に登場する水の女神・アクアの「輪っか」について書いてみようと思う。 アクアの髪型はかなり…

『リズと青い鳥』の下校シーンとシンクロ

凛とした朝の空気の中、軽快な足音が響く。鎧塚みぞれはその音を聞いて、傘木希美の気配を察する。校門から聞こえてくる足音は、物語の始まりを告げる音だ。そして校門につづく階段を降りる足音、これはふたりの少女が鳥籠から出ていく音。『リズと青い鳥』…

「アニゲー☆イレブン」あおきえい出演回の新房格言

BS11「アニゲー☆イレブン!」3月6日放送回に『ID: INVADED イド:インヴェイデッド』のあおきえい監督、キャラクターデザイン・総作画監督を務める碇谷敦の両名がゲスト出演。 あおき監督による絵コンテの極意を説明する(実現可能であるか/面白いか、面白…

『秒速5センチメートル』の明滅と点滅

1995年3月4日、大雪の降りしきる中、遠野貴樹は離ればなれになった篠原明里に会い行った。これは『秒速5センチメートル』第1話「桜花抄」の出来事だ。映画の公開が2007年3月3日だから、いま振り返れば作中の時間経過より長い月日が流れたことになる。 そんな…

演出メモ/『22/7』7話 絵コンテ・演出/森大貴

性質的にTVアニメは予期せぬ出会いが起こりやすい。 『22/7』(ナナブンノニジュウニ)第7話「ハッピー☆ジェット☆コースター」は集団食中毒という突発的でエキセントリックな導入から、まさしく予期せぬ物語になった好例だ。主役は一人食中毒を免れた戸田ジュ…

中野英明虎王伝説・総集編

2010年代中盤、格闘小説『餓狼伝』に登場する竹宮流の秘奥「虎王」が、何故だか(一部の)アニメを賑わせていた。仕掛け人は板垣恵介版・マンガ『餓狼伝』を愛読していたであろう演出家、中野英明。 以前、中野英明回で虎王が使用されるたびに記事を書いてい…