boogyman's memo

アニメーションと余日のメモ欄

「アニゲー☆イレブン」あおきえい出演回の新房格言

BS11「アニゲー☆イレブン!」3月6日放送回に『ID: INVADED イド:インヴェイデッド』のあおきえい監督、キャラクターデザイン・総作画監督を務める碇谷敦の両名がゲスト出演。

あおき監督による絵コンテの極意を説明する(実現可能であるか/面白いか、面白くないか)コーナーや碇谷敦の格闘シーン解説など、ファン向けに踏み込んだ内容もあり、楽しく視聴していたのだけど、メモしておきたいのは【制作チームを運営する秘訣!】と銘打たれた話題で新房昭之監督の名前が出てきたときのこと。

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僕の大先輩の新房さんというアニメ監督さん、新房昭之さんという『化物語』とか『まどか☆マギカ』とかの監督さんが仰ってたんですけど、「テレビシリーズというのは穴の開いた船だと。だから出航したら沈んでいく運命なんだと。穴が開いていて皆で水をかき出して、なるべく一回出航したら止まらないで最後まで目的地にたどり着くんだって。たどり着かなくて沈没しちゃったらNGで、ちゃんとなんとかたどり着いたらOKですよ」というのを前に聞いて、本当にその通りだなっていう風に思いますね。

不思議と馴染み深い話のように思えて記憶をたぐっていたら、これは「アニメスタイル 2000年 第1号」で庵野秀明監督が語っていたものと同様の組織論だった。

何度も言うようだけど、基本的にはアニメって穴の開いた船だから。沈む前に港に着けるかという、それだけなんですよ。そのためには排水作業をどうするかという、ダメージコントロールでしかない。最悪の事態を想定して、それに対処するためのシフトを作っておくだけなんです。まあ、それは組織論の基本でね。アニメの場合、それをあまり考えていない人が多い。

庵野秀明アニメスタイル P.81

紙面には【「月刊アニメージュ」(徳間書店)90年4月号の『ふしぎの海のナディア』の取材記事でも、同様の喩え話で、アニメ制作について語っている】という注記があり、庵野監督が言う通り、都合何度か話しているようだ。なので、それが新房監督の知るところとなり(全くの別口の可能性もある)、あおき監督に伝わっていてもなんらおかしくないのだが、まさかこんな場所で庵野秀明の言葉が迫ってくるとは思ってもいなかった。ちなみに現在、日曜0時からBS日テレで『新世紀エヴァンゲリオン』が再放送されており、同日0時30分よりBS11で『ID: INVADED イド:インヴェイデッド』が放送中。面白い偶然もあるものだ。

アニメスタイル015 (メディアパルムック)

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  • 発売日: 2019/12/07
  • メディア: ムック