2018-01-01から1年間の記事一覧
年末恒例の企画、今年放送されたTVアニメの中からエピソード単位で10本選ぶ、「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」。 以下、コメント付きでリストアップ。 ■ 『恋は雨上がりのように』 第12話「つゆのあとさき」 脚本/赤尾でこ 絵コンテ/渡辺歩 演出/益山亮…
『リズと青い鳥』の登場人物の中で、おそらく最も物怖じせず、鎧塚みぞれに正対するキャラクターは「図書委員」と名付けられた彼女だ。心が揺れる、感情が揺れる、ポニーテールが揺れる。様々なものが「揺れる」本作にあって、図書委員は下級生でありながら…
22/7 「あの日の彼女たち」day04 佐藤麗華 映像におけるファーストシーン、ファーストカットは特別だ。そこで引き込まれるかどうか、視聴意欲をかき立てられるか否か。それがすべてではないにしろ、やはり主張のある切り出し方をするものにより惹かれるし、…
22/7 「あの日の彼女たち」day03 立川絢香 立川絢香は真意を悟らせない。 「あの日の彼女たち」キャラクターPVの中で最も鮮烈なイメージを残す1本かもしれない。「day03」の舞台は帰宅途中だと思われる列車内。映像的には「開く」ところから始まり、「閉まっ…
22/7 「あの日の彼女たち」day02 河野都 「day02 河野都」は要約すれば、「ファミレスのコールボタン*1をいつ押すか」という話。にぎやかな場所を舞台にしているためか、雰囲気は明るく、空気感や色合いもはっきりしていてどこかコメディタッチ。明朗快活、…
以前まとめたエントリを書いたのだけど、22/7「あの日の彼女たち」キャラクターPVをリピート再生しているうちに、順を追ってもう一度書きたくなった。 今回は「day01 滝川みう」を取り上げてみたい。 22/7 「あの日の彼女たち」day01 滝川みう PVのスタート…
「岡田麿里の描く絵コンテ」に興味があった。映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』は都合7人が絵コンテにクレジットされているが、個性派揃いの演出陣にあって目を引く絵コンテ/岡田麿里の存在感。いったいどんなコンテを、そもそもどんな絵を描いてい…
木村圭市郎さんの逝去。仕方がないことだけれど、やはり寂しい。思えばインタビューやイベントで拝見するたび、気迫のこもった口調にたじろぎながらも、その豪快な人柄にどこか励まされていた。生涯現役を標榜し、やり遂げようとする生き様に憧れていたのか…
謎に満ちていて、否応なしに引き込まれてしまう。目と耳を凝らして何かないかと探ってしまう。雨宮哲監督の『SSSS.GRIDMAN』は用心深く、視聴者を刺激する。 中でも、物語の導入部にあたる第1話「覚・醒」の演出はじつにミステリアスだった。記憶喪失の主人…
『やがて君になる』は演出に凝ったアニメだ。小糸侑と七海燈子、ふたりの心情を様々なフレーム、境界線によって描き出そうとしている。そのひとつ、「踏切」についての小話。 踏切は電車や人々が行き交う日常的な場所でありながら、「線」が多く、心理的距離…
P.A.WORKS×篠原俊哉の新作『色づく世界の明日から』が始まった。魔法の使える社会で魔法が使えず、幼い頃に色覚を失ってしまい、灰色の世界を見つめてきた少女・月白瞳美が祖母の時間魔法によって突然60年前へと渡るファンタジックな作品だ。 第1話Aパートで…
22/7「あの日の彼女たち」キャラクターPV day06 丸山あかね、day07 戸田ジュンが公開されていた。今回は詳細なスタッフ情報が掲載されており、一部で噂されていた通り、アニメーション制作はCloverWorks、監督に若林信、キャラクターデザイン・作画監督には…
格別な詩情が溢れ出したアニメ、そう呼びたくなる。先日、完結を迎えた原作の最終回も読んでいたが、TVアニメ『恋は雨上がりのように』の締め括り方は澄明な感慨を抱かせるものだった。 徹夜で執筆活動を行う近藤と起き抜けにストップウォッチアプリを操作す…
「続きが読みたいとも思いました。」 これは補習を受けていたあきらが、【あなたは下人のとった行動をどう思いますか? 自由に書きなさい。】という『羅生門』の問題に対して、「下人の勇気が、今後の彼の人生にプラスに働けばいいなぁと思います。」と書い…
夜の青い光の中、カーテンに伝う雨雫の影。 『恋は雨上がりのように』7話Bパート、雷が落ちて停電した後、ずっとテーブルに伏せっていたあきらが身を起こすシーンの美しさ、緊張感はただごとではなかった。 青白く照らしていた外の光がカット内で変化し、画…
『恋は雨上がりのように』は構成力に唸らされるアニメだ。 原作付きのアニメを観るとき、原作既読の状態が必ずしも好ましいとはかぎらないが、本作はシリーズ構成、各話の構成、ともに原作ファンの目で観ても「こう来たか」と思わせる仕掛けがある。アニメ第…
TVアニメ『恋は雨上がりのように』には「スペシャルファンデ」という固有の役職が設けられている。具体的に何をする役職なのか、わからないでいたのだけど、岡田麻衣子プロデューサーのインタビューで触れられ、少しだけ内容が明らかになった。 瞳アップの時…
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』第5話の視線誘導・フォーカスについてメモしておきたい。 京都アニメーションのお家芸とも言える被写界深度のコントロール。第5話のそれは今まで以上に精緻で見慣れないものがあった。 シャルロッテ王女と向かい合うヴ…
アニメーターの高木弘樹さんが亡くなられたという話を聞いた。正直、信じられない思いで一杯だ。あまりにも突然で心がざわめき立っている。 高木さんの膨大な仕事の中で一番心に残っているのは、ぴえろ魔法少女シリーズ、とくに『魔法のスター マジカルエミ…
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の画作りには圧倒される。風になびく髪の柔らかさ、皺の描き込み、繊細な表情芝居……TVアニメの水準はどこまで引き上げられるのか。見ているこちらが心配になってしまうほどだ。そんな高密度の画作りを支える重要な要素…
勢いで告白してしまった夢から醒めたあきら。勘違いされたという失敗の念が強いのだろう、髪は千々に乱れ、苦い表情。起き上がり、ベッドから出ようとしたとき、右足の剥がれかけたペディキュアが目に止まる。あきらは除光液とハートの形をしたネイルのボト…
渡辺歩監督の新作『恋は雨上がりのように』。 初回放映の後、すかさず原作を読み直してしまった。原作を大胆に再構成しているのに、違和感がない。17歳の女子高生・橘あきらは45歳のファミレス店長である近藤正己の何に惹かれたのか。原作以上にスムーズな導…
先週の土曜日、公開初日に『映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-』を鑑賞。何も調べず劇場に足を運んで正解だった。これは未成熟な面映いラブストーリーであり、サービス精神に溢れた舞台探訪型ロードムービーだ。 近年、京都アニメーションは「コミュ…
コミックマーケット93頒布、サークル・アニメ風来坊より発行された『若林信仕事集2』。発行責任者及び編集は若林信。TVアニメ『エロマンガ先生』第8話絵コンテ集だ。独特なスタイルであるのは、コンテの上に直接フキダシを重ねて解説文を書いていることだろ…