boogyman's memo

アニメーションと余日のメモ欄

2019-01-01から1年間の記事一覧

話数単位で選ぶ、2019年TVアニメ10選

年の瀬が近づくと始まる企画、今年放送されたTVアニメの中からエピソード単位で10本選ぶ、「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」。 以下、コメント付きでリストアップ。 ■『風が強く吹いている』 第23話「それは風の中に」 脚本/喜安浩平 絵コンテ・演出/野村…

『さすがの猿飛』28話の回し蹴りメモ

「NHK NEWS WEB 京アニ・つなぐ思い」のページに11月25日付けで「子どもに夢を ~“天才アニメーター” の素顔~」という記事が掲載された。これはアニメーター・木上益治の軌跡を辿る貴重な証言集。その中であにまる屋時代の同僚・奈須川充さんが『さすがの猿…

『ちはやふる3』の汗と浅香守生

6年ぶりのTVシリーズ第3期、『ちはやふる3』を観て思うことは、ひたすら純粋に「面白い」だ。競技かるたに懸ける情熱も、青春群像劇の中で絡み合う恋模様も、ずっと観ていたくなる。原作の勘所をつかまえる抜かりなさ、緊張感を孕みつつ、テンポ良く進める手…

『バビロン』2話の演出について

平衡感覚という言葉がある。比喩的にも使われるが、からだのバランスを敏感に察知し、それを保つ感覚のことだ。であるならば、野崎まどの同名小説をTVアニメ化した『バビロン』第2話に登場する平松絵見子こと「曲世愛」(まがせ あい)は、人の平衡感覚を失…

木上益治とプロレス

詳しい素性はわからない。けれど、非の打ち所がないその実力はファンならだれでも知っている――それが木上益治という人だった。 監督を務めた『MUNTO』シリーズのDVD特典でオーディオコメンタリーに出演したり、メイキング映像に顔出しをしている以外、ほとん…

『ソウナンですか?』エンディングと渋谷亮介

無人島に漂着した女子高生4人のサバイバル。TVアニメ『ソウナンですか?』は悲観的な状況に置かれていながら、父親仕込みのサバイバル術を持つ鬼島ほまれを中心に、マニアックな描写を挟みつつ、女子高生らしくお喋りの尽きない無人島生活を送る一風変わった…

感想/『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』

ヴァイオレット・エヴァーガーデン。考えてみると、これは潔いタイトルだ。名は体を表すという言葉があるが、本作に関して言えばTVシリーズの頃から、名前に物語が宿っている。名を呼ぶことが、ドラマなのだ。 イザベラ・ヨークことエイミー・バートレットと…

演出メモ/『ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-』6話

『ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-』第6話は恒例のあおきえい絵コンテ回。偶然なのか狙っているのか、TROYCAの加藤誠監督作品(『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』『やがて君になる』)にあおきえいがコンテ参加するときは…

東京、選択、反射――『天気の子』感想

新海誠最新作『天気の子』は身も蓋もなく言えば、「東京」の映画だ。「東京」と「新海誠」の関係は過去の作品群を振り返っても明らか。時に憧憬として、時に焦燥として、そして交差する場所として扱われている。もしかしたら、新海誠という人を映す鏡のよう…

『どんぐりの家』と安濃高志

アニメーション映画『どんぐりの家』を久しぶりに観た。以前に観たのは何かの上映会だったはずで、もう20年近く鑑賞する機会がなかったのだけど、安濃高志監督の演出について確認したいことがあって視聴。細部まで観直すことができた。 『どんぐりの家』は山…

新海誠が描いてきた雨――『天気の子』公開に寄せて

新海誠監督の最新作『天気の子』の公開がいよいよ目前まで迫っている。 予告編を見ても明らかなように『天気の子』のテーマに「雨」が深く関係しているのは間違いない。連日降り続く雨と“100%の晴れ女”というキーワード、それが世界をどんな風に動かしていく…

『シティーハンター2』17話の2人原画と一肌

『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』が封切りされた頃に書こうと思っていた『シティーハンター2』17話についてのエントリ。 それは以前、西村誠芳さんがこんなツイートをしていたことが発端だ。 @mutaguti2 自分からバラすけど、シティ…