boogyman's memo

アニメーションと余日のメモ欄

『恋は雨上がりのように』のスペシャルファンデについて

TVアニメ『恋は雨上がりのように』には「スペシャルファンデ」という固有の役職が設けられている。具体的に何をする役職なのか、わからないでいたのだけど、岡田麻衣子プロデューサーのインタビューで触れられ、少しだけ内容が明らかになった。 瞳アップの時…

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』5話の視線誘導・ピン送りメモ

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』第5話の視線誘導・フォーカスについてメモしておきたい。 京都アニメーションのお家芸とも言える被写界深度のコントロール。第5話のそれは今まで以上に精緻で見慣れないものがあった。 シャルロッテ王女と向かい合うヴ…

高木弘樹さんのエミ

アニメーターの高木弘樹さんが亡くなられたという話を聞いた。正直、信じられない思いで一杯だ。あまりにも突然で心がざわめき立っている。 高木さんの膨大な仕事の中で一番心に残っているのは、ぴえろ魔法少女シリーズ、とくに『魔法のスター マジカルエミ…

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の色使いと設計

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の画作りには圧倒される。風になびく髪の柔らかさ、皺の描き込み、繊細な表情芝居……TVアニメの水準はどこまで引き上げられるのか。見ているこちらが心配になってしまうほどだ。そんな高密度の画作りを支える重要な要素…

『恋は雨上がりのように』 #3 雨雫の表現

勢いで告白してしまった夢から醒めたあきら。勘違いされたという失敗の念が強いのだろう、髪は千々に乱れ、苦い表情。起き上がり、ベッドから出ようとしたとき、右足の剥がれかけたペディキュアが目に止まる。あきらは除光液とハートの形をしたネイルのボト…

『恋は雨上がりのように』 #1 

渡辺歩監督の新作『恋は雨上がりのように』。 初回放映の後、すかさず原作を読み直してしまった。原作を大胆に再構成しているのに、違和感がない。17歳の女子高生・橘あきらは45歳のファミレス店長である近藤正己の何に惹かれたのか。原作以上にスムーズな導…

『映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-』感想

先週の土曜日、公開初日に『映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-』を鑑賞。何も調べず劇場に足を運んで正解だった。これは未成熟な面映いラブストーリーであり、サービス精神に溢れた舞台探訪型ロードムービーだ。 近年、京都アニメーションは「コミュ…

「若林信仕事集2」を読む

コミックマーケット93頒布、サークル・アニメ風来坊より発行された『若林信仕事集2』。発行責任者及び編集は若林信。TVアニメ『エロマンガ先生』第8話絵コンテ集だ。独特なスタイルであるのは、コンテの上に直接フキダシを重ねて解説文を書いていることだろ…

話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選

年末の風物詩(?)、今年放送されたTVアニメの中からエピソード単位で10本選ぶ、「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」。 以下、コメント付きでリストアップ。 ■ 『魔法つかいプリキュア!』第49話「さよなら…魔法つかい!奇跡の魔法よ、もう一度!」 脚本/村…

アニメの門場外乱闘編 総括2017

年末の風物詩(?)になりつつある「アニメの門場外乱闘編」。アニメ評論家の藤津亮太氏とライターの小川びい氏による、それぞれが選定したニュースを発表する形式のトークイベントだ。 今年も例年通り、軽快かつ見識の高い放談で終始笑いの絶えない進行。だ…

愛物語 スタッフデータ

『愛物語』 企画/藤原正道 原作/かわぐちかいじ プロデューサー/芝原靖史、沢登昌樹 【抱きしめたい】 作詞/ジョン レノン 作曲/ポール マッカートニー 演奏/ザ・ビートルズ Courtesy of Emi Records Limited 監督/望月智充 キャラクターデザイン、作…

「あの日にかえりたい」と「あの日に帰りたい」

タイトル表記にまつわる小話。 『きまぐれオレンジ☆ロード あの日にかえりたい』は1988年に劇場公開された望月智充監督作品。「かえりたい」はひらがなだ。 さて、漢字表記の「あの日に帰りたい」。これはかわぐちかいじ原作のOVA『愛物語』(1993)に収録され…

干物妹!うまるちゃんR #7

『干物妹!うまるちゃんR』第7話は上坪亮樹の絵コンテ・演出回。目を引いたのはサブタイトルにもなっている前半の遊園地だ。うまると親密になってコーヒーカップに乗りたい切絵。しかし靴紐を踏んづけて転んでしまったり、髪がほどけて取り乱してしまったり…

「この人に話を聞きたい」 藤原佳幸

アニメージュ2017年12月号掲載の「この人に話を聞きたい」は藤原佳幸監督。以前から注目している作り手の一人で、資料性博覧会09のパンフレット企画で藤原監督についてのコラムを寄稿したこともあり、今回の「この人」は妙に緊張しながら読んだ。寄稿にあた…

消えたかけら

篠原俊哉監督のブログ「日々のかけら」の愛読者だった。消えてしまってからしばらく経つが、折りに触れてログを探しにいってしまう。 日々の何気ない風景からペンギングッズのこと、気にいった書籍、映像、音楽、美術に至るまで多彩なトピックを地に足の着い…